ショート・ショート。「激論!朝まで生野菜!」

本日も、この時間がやって参りました。

現代の野菜社会に蔓延する
あらゆる問題を
畑は違えど、集まった野菜たちが

冷静に、時に熱く

建設的に徹底的に話し合い
問題解決のヒントに繋げていく番組。

「激論！朝まで生野菜！」

では、早速、ピーマンさんからどうぞ。

「え～。まぁ。まず、我が国の少子化問題についてですが
もう、あれですね。季節関係なしの24時間稼働の
ビニールハウスをじゃんじゃん立ててですね。
我々ピーマンの苦味が、すっかりなくなり甘くなったようにですね。

品種改良もじゃんじゃんしてですね」

「ピーマン！あんたの話は、いつも、中身がないんだよ!」

あっと、ブロッコリーさん。発言するなら挙手して。

「・・・我々は、家族主義の復活以外に
この問題を解決する手段はないと考えます。
我らブロッコリーのように、常に寄り添って
支え合って生きるのです。

そして自然に子供を授かる。
それしかない!
遺伝子組み換えなんて、今に神の怒りを買うぞ!」

はい。じゃあ。イチゴさん。

「う～ん。もっと、みんなオシャレするべきよ。
オシャレしてれば、良い事は向こうから
よって来るわ。
それより、私はいつまで野菜の回に呼ばれるの?
果物の回じゃあ、私を野菜だと思ってる方は、いないわよ」

えーと。トウモロコシさん。

「あっ出来ればコーン。いや、スイートコーンと呼んでほしい。
イチゴさんの意見には全くもって賛成だね。
今は、空前のスイーツブームだよ。
神の領域だろうが、へちまだろうが
どんどん利用して、甘くなるべきだよ。
僕なんかもう、最近では果物より甘くなってるんだよ」

あっと、へちまさん。

「おらたちは関係ねぇべ・・・。

コーンだか、トムだか知らねえけどよ。
それに、甘い甘いって野菜全部が甘くなっても仕方ねぇべ。
甘くない野菜がいるからこそ、
はじめて甘い野菜がもてはやされるんだべ?
コーンさんよ、あんた、頭の中まで、甘くなってねぇか?」

「だいだいピーマンも、野菜無害みたいな顔して
パプリカには排他的な態度だったじゃないか！
赤はいらない!黄色は信じるな!とかヘイトスピーチしてさ!」

「それは、私たちスイカの時も最初は、あったのよ。
みんな、最初は新種が怖いのよ」

「待て！貴様ら！我々、きのこの立場はどうなる!
じめじめした土地に我々を追いやった世界。
しかし今や我々のシェアは莫大だ!
我々きのこの権利を認めろ!
それにそろそろこの番組、きのこの回を作れ!
果物、野菜の二大政党制に

なんの疑問を持たない世界と

我々、「傘の会」は、断固戦う!」

あぁ・・・もう皆さん、意見を言うときは挙手してください!

こうして、野菜たちの夜は更けていく。

そして、この熱い論争を皮切りに
野菜たちは、ヒートアップし続け
ついには温野菜になり
各産地で泥仕合を繰り広げる。

その中でも強硬派の

きのこたちは、根菜たちと手を組み
緑黄色連合に対して宣戦布告。

緑黄色連合は、果実合衆国と同盟を結び
きのこ、根菜たちを圧倒的な武力で制圧した。

この戦いで、双方、沢山の種が失われ

連合は、事実上の戦いの終結を発表したが
きのこ、根菜たちの命懸けの抵抗は
一向に止む気配はなかった。

後に「第一次 野菜傷め」と言われた
大きな争いである。

この戦争は、甘い汁を吸うために
果実たちが起こしたとされる証拠が
複数、見つかっているが
真相は、太陽の届かない闇の中にある。

そして
果実の甘い誘惑に負け
連合に引っこ抜かれた、根菜たちと

決別したきのこたちは

かつてこの星を支配していた生物の遺跡

「オンカロの墓」を暴き
禁断の種を取り出す。

きのこたちは

その禁断の種の爆発で起きた
天まで昇る死の雲を

神と崇めた。

そして、今・・・この記録を読んでいるのは
そのような先人たちの破壊から
暗い穴ぐらで生き延びた
我々、漬物、ドライフルーツ、干しキノコたちだ。

この星が我々に、あの新鮮なみずみずしさを
再び与えてくれるのは何時になるだろう・・・?

それとも、もう一度、我々に陽が射すような事があっても

繰り返される争いによって、またぬか喜びに終わるのだろうか・・・。

本日も最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。
当ブログは、皆様の健康生活を応援しています!