チェスター・コパーポットの逆襲

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死を片付ける。「特殊清掃」死体と向き合った男の20年間の記録。を読んで

こんにちは。ショウタロウです。

 

皆さんはメメント・モリ

という言葉をご存知ですか?

 

その言葉の意味は

中世ヨーロッパで盛んに使われたラテン語

「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」

「死を忘るなかれ」

 

現在よりも、死がもっと身近にあったはずの何百年前に

この警告のような言葉が、盛んに使われていた理由は何でしょうか?

 

きっとそれは

当時の人々の生活にも当然

楽しい事、辛い事があり

人々は、それを追ったり、それに追われたりしながら、忙しく

死の遠くなった今とそう変わらない希望や切なさ

を抱えて生きていたからではないでしょうか?

 詰まり。

「死が近くにあった大昔も人は生に追われ、つい死を忘れて生きていた」

と僕は、考えます。

 

それから時が経ち、現在21世紀。

そろそろ自動車も空を飛びそうな時代。

「医療の発達により、人の生き死にが

まるでテレビゲームをリトライするかのように・・・」

とは、まだいきませんが

中世の人々の死の見方より、もっと死が遠くになったように

思える時代に多くの人は、いよいよ

「ひょっとしたら・・・自分だけは、死なない・・・?

と、どこかで思っている。

 でも、やっぱり

「僕も愛しい君もやっぱり死ぬらしい・・・」

と知っている。

 そして、指先ひとつでタップして終える生活に追われ

また、を忘れ、ある日突き付けられるに立ち尽くす。

 

そう、いつの時代も

「死」「リアル」でありながら

どこまでも、「アンリアル」なのです。

 

だからこそ

メメント・モリ

「死を想え」

という警句は、時代を超えて

僕らに刺さり続けるのでしょう。

 

そして、

正にその「死を想った」本。

 

「特殊清掃」

死体と向き合った男の20年間の記録 

 特掃隊長著 デイスカヴァー21刊

 

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 ざっと内容を

 

 「特殊清掃」とは

主にご遺体に関係する
特殊な汚染汚損を清掃、処理し
その物件を原状復帰させる業務。

 

そんな、数ある変わった職種の中でも
かなり特殊な仕事に就いた

著者、特掃隊長(男性)

 

隊長は依頼が入ると
出来るだけ早く現場に向かい

愛する人
腐った肉体の痕跡を前に
どうすることも出来ず立ち尽くす
肉親や知人に代わり

プロとして最後の作業に入る。

 

隊長は、なぜそんな仕事に就いたのか?

使命感?信仰心?
好奇心?収入の良さ?

 

ひょっとすると、それは、あなたが
今就いている職業に、就いた理由と
余り変わらないのかも知れない。

 

読んで感じた事。

 

読むほどに
心の芯がツンとして
静かに切ない。

そして、ショッキングな内容でありながらも

人の儚さと優しさを再認識出来て
なんだか、少しほっとする
すごい本。

 

僕らは、どうやらいつかは
100%死ぬらしい。

 

30年以内に来るらしい
大きな地震運よく生き延びても

 

独裁者の放った飛翔体が
このままずっと海ポチャし続けても

 

原発事故が安心完全アンダーコントロールされても

 

やっぱり100%らしい。

 

しかし、その100%当たり前が
やっぱりピンと来ない。

 

これまた、当然だが
人がピンと来ようが、来まいが
人は突然死ぬ。

 

死んで、遺体になり
遺体は、崩れていく

 

そして、まだ生きている人間は
崩れた遺体をどうにかしなければならない。

 

詰まり、片付けなければならない。

 

本書は、
その片付けを生業にした人
生きている人の為に

そして自らの為に
を片付け続けた20年間の軌跡。

 

本日も最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。

また、次回もお付き合い下さいませ。

 

本書を読み終わって

Mr.Children「花 -Memento-Mori」

を聴くと、じ~んときますぞ。