チェスター・コパーポットの逆襲

映画、本、ざれごと、好きな事を好きなだけ。

話題の「レンタルなんもしない人」の本を読んで

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「レンタルなんもしない人」とは何者だ?

 

『レンタルなんもしない人』というサービスをしています。1人で入りにくい店、ゲームの人数あわせ、花見の場所とりなど、ただ1人分の人間の存在だけが必要なシーンでご利用ください。 1万円と国分寺駅からの交通費と飲食代だけ(かかれば)もらいます。

ごく簡単なうけこたえ以外なんもできかねます。

 

というサービスを提供している人らしい。

 

時代劇とか、西部劇とかの悪役の口から聞く

「てっ、てめぇー!なにもんだぁ!?」

みたいなニュアンスで

 

固定概念に囚われている僕を含め多くの人から

すれば、なんだか面白いやら、奇妙やら。

兎に角、理解に苦しむ存在。

 

実際、なんもしない人の

本を読むまでは、僕には、解らなかった。

いや、正直、本を読んだ後でも解っていないのかも知れない。

 

一度、サービスを利用してみて

どれ位、なんもしないのか?

これ位なら、してくれるのか?

と、体験してみればいいのだけど

 

「勇気が出なくてなんもしない人」の僕が

 

とりあえず、今回は

なんもしない人が書いた

「<レンタルなんもしない人>というサービスをはじめます。」

スペックゼロでお金と仕事と人間関係をめぐって考えたこと

河出書房新社刊 1650円

を読んで、感じた事をぽつりぽつりと。

 

 

なんもしない人。この人。

僕が、好きな作家。

江戸川乱歩風にタイトルを付けるなら

 

「怪人なんもしない人」

 

そんな感じ。

 

そして、内容も小説風に紹介すると

 こんな感じ。

 

 人々は言う。

「鳥だ!飛行機だ!

いや、なんもしない人だ!」

  

怪人は言う。

「ふふふ。見つけてくれたのなら、もう逃げも隠れもしません。

そうです。私が「なんもしない人」です。

 

小生の志と

ご依頼主との思いが

晴れてゆるめにマッチングしたら

 

あとは

1万円。と

指定場所への交通費と、飲み食いするなら飲食代

を頂ければ参上致します

 

但し、基本的には、ごく簡単な受け答え以外は致しません。

 

えぇ詰まり。なんもしません。

悪しからずご了承下さいませ」

 

そんな謎過ぎるサービスを始めた

怪人「なんもしない人」

 

当初、多くの人々は

そんな「なんもしない人間」

のする事など、なんも気にしていなかった。

 

・・・しかし、サービス開始から1年も経たずに

怪人へ送られる依頼主からのダイレクトメールは

今日も後を絶たない。

 

サービスの内容は

 

・はじめて飲むほうじ茶ラテを一緒に飲んで欲しい。

 

・上司と口論になってしまい

ひとりで、出社するのが心細い。一緒に出社して欲しい。

 

・小説を書いているのだけれど、ひとりで勝手に書いていると

ついつい、サボってしまうので、目の前に座って見張っていて欲しい。

 

・離婚届を提出する様子を見届けて欲しい。

 

・簡単には、話せない過去の話を聞いて欲しい。

 

などなど。様々な、なんもしなくていい依頼が

なんもしなくてもいいよと、言う人たちから

なんもしてなくても、送られるようになった。

 

そう。怪人は、今日も朝から晩まで

忙しく、なんもしない。

 

僕が思うに

 

人間がいつからか

「人材」と言う言葉

 

文字通り人を材料として扱う言葉。

 

これを多くの人が

当たり前に、使うようになり

その価値観は

労働だけに収まらず

 

友達市場のおける人材。

 

恋愛市場における人材。

 

そして、家族市場における人材。

 

そんな全ての関係性に、市場原理のようなものを

持ち込んだ結果。

 

「なんもしない人」が、

いつ何時、どこにも居ては駄目になった。

 

そんな、不寛容で、嘘つきな世間に

怪人は、ひっそり現れ

 

「なんも言わず、なんもしない。

あなたでいい。

あなたが、いるだけで私は幸せ」

 

 そんな時間が、誰にもあるべきだ。と

 伝えたかったのでは、ないか?

 

怪人は、今日もつぶやく

「1万円と、交通費と、ご飯代だけ頂ければ

但し、なんもしませんよ・・・」

 

さぁ、あなたは、怪人に何を依頼しますか?

 

最後まで、読んで頂き誠にありがとうございます。

なんもしなくていいので

今後ともお付き合い下さい。