チェスター・コパーポットの逆襲

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狂気のマインクラフト!?昭和の怪物作家。江戸川乱歩著「パノラマ島綺譚」を読んで。

こんにちは。ショウタロウです。

 

皆さんは、宝くじを買った事はありますか?

 

「あんなの当たらないよ~。お金の無駄だよ。」と

堅実な方ならきっとそうおっしゃるはず。

 

でも、そんな方でも

「もし宝くじで10億円当たったら・・・」

「すぐ仕事を辞めて、世界旅行に出る」

「好きなものを好きなだけ買う」

愛する人たちと、素敵でふしだらに暮らせる大きな家を建てて

そこで、毎日どんちゃん騒ぎする」

などなど。

いわゆる。「たらればの話」を楽しんだ記憶がある事でしょう。

 

そして、今回は

そんな、誰もが一度は夢見た事がある

突然手に入った大きな財力を使い

虹色の夢を叶えてしまったデイドリーマーの話

 

「パノラマ島綺譚」 角川文庫 

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をご紹介。

 

オチバレなしで、ざっとストーリーを

 

自称小説家の青年、人見廣介
決して早くはない筆を時折止めては

夢ばかり見ていた。

 

人見
その夢にとうとう迷い込み

 

自分と瓜二つの顔を持つ
資産家の青年、菰田源三郎

自分の人生を驚きの方法で

すっかり入れ替えてしまう。

 

そして、他人の人生と
莫大な富を手に入れた
人見

その頭の中で描き続けていた
100色柄の虹

誰も知らない
孤島に、築き上げる・・・。

 

読んで感じた事。

 

僕が好きな数ある乱歩作品の中でも
一二を争う本作。

 

デタラメに大掛かりで
背徳的で、狂気じみた美しさを
放っているパノラマ島。

 

流れるような文書で描かれる
主人公。人見廣介妖しい夢に
あなたも夢中になるはず!

 

そして、本作に限らず

乱歩作品の魅力は、自己実現、他者からの承認、性など

人間の本質的な

欲望が描き出されているところでしょう。

 

読者は、その乱歩の描いた

100年そこらでは変わらない

人間の欲、それに関わる切なさに

実際に起きた事件や、ブームをリンクさせ

「まるで乱歩作品のような事が起きている・・・」と

乱歩の目に「先見の明」事が起こる前にそれを見抜く見識)

を感じる事が出来るのです。

 

 これが乱歩作品が、時代を超えて愛される理由の

一つだと思います。

 

一つ例を挙げると

世界的に大ヒットしたゲーム

「マインクラフト」

 

プレイヤーたちが、ゲーム内に

自由に作り出した

あの世界を動画で見ていると

「本当にすごいなぁ・・・」という感想と同時に

 

その世界で、まるで創造主の様に君臨する

プレイヤーの姿に僕は、どこか人間の狂気じみた

探求心や支配欲みたいなものを感じたのです。

 

「そうまるでそれは、乱歩のパノラマ島綺譚のようだった・・・」

 

さてさて

「今年は、時間とお金がなくて結局旅行に行けなかったわ」
とおっしゃる皆様。

 

是非、本書を開いて
乱歩の妖しい世界に、旅立っては如何でしょうか?

・・・片道きっぷになるかも知れませんが・・・

本日も最後まで読ん頂き誠にありがとうございます。

また、次回もお付き合い下さいませ。