チェスター・コパーポットの逆襲

映画、本、ざれごと、好きな事を好きなだけ。

死に花を咲かせる 映画「運び屋」を見て

20代の頃

「僕らの世代は、きっと年金が貰えない・・・」

なんて、友達とファミレスで話していると

 

隣の席に座っていた

じいさんがニヤニヤ笑いながら

「その歳で、年金の心配か?

そんな、何十年先の事なんか誰にも

解りゃあしない。

年金どころか。石油がなくなって

いるかも知れないぞ。

それなら、金よりも自分で食うもの

を作った方が賢いかも知れん。

そんな先の事より、若いんだから

今を考えて、今を楽しめ」

と、でっかいチキンを

食べながら話しかけてきた。

 

・・・確かに。

僕らは、年金に限らず

将来への不安を必要以上に

抱えて、勝手に途方に暮れているのかも知れない。

 

その悩み自体は、きっと尊いのだけれど

どうも多くの人は

その問題の解決策や、凌ぎ方を模索するより

ずっと悩みを抱えて、みんなで「ツライツライ」と

合唱して安心する事に、重きを置いている気がする。

 

だから、ネットやテレビで流される

その合唱に参加しないキラキラした他人の

「私は、全然辛くない、私は、とても幸せ」

実のところ、これが一番、辛いのだろう。

 

芸能人の恋愛、不倫。自由奔放な暮らし。

IT社長の高級車コレクションと月面旅行。

「なんもしない」のに稼ぐ人。

 

こんなの全部。

「よそはよそ うちはうち」でいいのである。

 

憧れる事で、何かの足しになっても

妬んで、何になる?

 

そんな事より

自分が、夢中になれることを

探した方が

人生、ひょっとしたら

笑いながら死ねるかも。

と感じさせてくれた作品。

 

映画「運び屋」

主演・監督 クリント・イーストウッド 2018年アメリ

f:id:kikuchiyokun:20191121114302j:plain

 

ざっとストーリーを

 

黄金の星といわれる花

「デイリリー」

その花の儚い輝きに、魅了され

人生の大半を

費やしてきた園芸家の男アール・ストーン。

 

アールは、妻より、娘より

花を愛してしまった。

 

そして、月日は流れ

インターネットの到来に

よって、アールの花屋は廃業。

アールの夢もまた儚く散った。

 

そんなアール

長年放っておかれ、愛情の枯れた家族は

見向きもしなかった。

 

経済的に行き詰まり

途方に暮れる孤独なアール

ある仕事が舞い込む。

 

その仕事とは

あるものを、ある場所に

トラックで運ぶだけ。

 

ルールも、簡単。

「あるもの」これが何かは気にするな。

これだけ。

 

アールは、藁にも縋る思いで

この仕事を引き受けるが・・・

 

感想。

 

「ひとつの事に

に夢中になり過ぎちゃうと

ヤバい事になっちゃいますよぉ~ドーン!!!!」

なんて笑うセールスマンみたいな

話なのかなぁ。なんて

思ってたけど

 

もっと深い事を描いた

人生賛歌だった。

 

この映画が言いたい事はきっと

 「家族や友人を二の次にして

何かに夢中になる事が、悪いんじゃなくて

家族を二の次に出来る位、夢中になれた。

この事がみんな、本当は羨ましいのだろう」

そういう事だと思う。

 

是非、人生を夢中で生きたじじい

アールの栄光を感じて下さい。

 

本日も最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。

また、次回もお付き合い下さいませ。